アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹が悪化・改善を繰り返す疾患です。
多くは、アレルギーを起こしやすい、皮膚が乾燥して皮膚の防御機能(バリア機能)が低下しやすい、といった体質(アトピー体質)を持っています。

アトピー性皮膚炎の治療

症状がない、あるいは軽度で日常生活に支障がない状態を、できればスキンケアのみで長期間維持することが目標になります。症状によって、「薬物療法」「内服薬」「注射薬(生物学的製剤)」「紫外線療法」などを組み合わせて治療を行います。

薬物療法

現時点で、アトピー性皮膚炎の症状を十分に抑えられると考えられている薬剤は、ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏です。そのほか、皮膚の状態を保つための保湿外用薬や、かゆみをおさえる抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬などが一般的に使われます。

■塗り方のポイント
軟膏は皮膚にすりこむのではなく、皮膚にのせるようにやさしく塗ります。指先や手のひらを使って、やさしく丁寧に広げます。
外用薬は、皮膚の表面にある溝に沿って塗るとムラなく広げることができます。
■外用薬による治療のながれ
一般的にアトピー性皮膚炎の治療は
(1) 皮膚炎の症状・かゆみをおさえる
(2) よい状態を維持する
というステップで行われます。
■具体的な療法
「リアクティブ療法」症状が出たときにステロイド外用薬などで炎症をおさえる
「プロアクティブ療法」症状がおさまってもしばらくステロイド外用薬などを続けコントロールしていく再発の多いアトピー性皮膚炎の場合コントロールがしにくいため、現在では徐々にプロアクティブ治療が推奨されるようになっています。

内服薬

アトピー性皮膚炎はかゆみが起こりやすいため、かゆみをおさえる目的で抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬が処方されることがあります。

  • 抗ヒスタミン薬は、副作用として眠気が強く出るものもあるので、日常的に乗り物の運転する方はご相談ください。

注射薬(生物学的製剤)

アトピー性皮膚炎の治療法の多くは症状やかゆみをおさえる対処療法でしたが、最近ではアトピー性皮膚炎の原因にかかわる分子をターゲットにした治療薬である生物学的製剤デュピルマブ(遺伝子組換え)も登場してきました。

紫外線療法

過剰な免疫反応を抑えることを目的とした、紫外線治療の中でも、副作用のおきにくい波長が311nm付近の極めて狭い範囲の紫外線ナローバンドUVBを使用します。